今日は私がインドネシアにいた時に感じていたことを書きたいと思います。

それは、先進国とはなにか、ということです。

私が一時期住んでいたインドネシア。

まだまだ貧しい国ではありますが、
経済発展の勢いは目覚ましい物があります。

日本のテレビで紹介されるインドネシアは
山の中だったり田舎が紹介されることが多いので想像できる人は少ないかもしれませんが、
首都であるジャカルタは人口1000万人です。

首都圏全体で考えると東京が世界で最も人口密度が高いらしいのですが、
2位はジャカルタであるというのをどこかの記事で読んだことがあります。

間違っていたら申し訳ないですが😅😅、とにかくジャカルタはめっちゃ都会なんです。
高層ビルの数は東京よりも多いんじゃないでしょうか。

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、
ジャカルタの街を一望した感じの写真を載せます。

めちゃくちゃ高層ビル多くないですか?


ちなみに、インドネシアにいた4年間で青い空を見た記憶がありません。
排気ガスのせいか湿度が高いせいか、いつも空は淀んだ色をしています。
日本で見れる快晴の時の空の青って、すごくきれいだと思います。

まあ、一歩高層ビルから離れたらすぐそこにはバラックのような建物がたくさんありますし、
歩道はガタガタだし、汚いところは山ほどあるんですけどね。

とにかく街の至るところで何かしらの工事をやっているし、
高速道路もバンバン建設されています。
1年もしたらガラッと様子が変わっていることも多々あります。

ものすごいスピードで発展しているのに、
『先進国』
という感じはしないですし、たぶん一般的にもまだ途上国扱いされていると思います。

発展しているからこその途上国なんでしょうけど、
じゃあ、いつになったら先進国と呼ばれるようになるのか。
途上国と先進国を分ける要素は何か。

経済発展の度合いだけではないのか?

インドネシアはまだしばらく先進国にはなりえない、
というか、今のところその兆しすら見られない

というのが私の答えです。

それはなぜかというと、先進国と途上国を分ける基準が

自分たちで自分たちの国の未来を決めることができるか

ということだと思っているためです。

私が国家レベルの話をするのはおこがましいのですが、
私が勤めていた工場運営一つとっても同じことが言えます。

とにかく、自分たちだけでは何もできないんです。

設備が壊れても自分たちで修理できない。

まずネジなどの基本的な部品が簡単には手に入らない。
手に入ったとしても種類が多くない。
特殊ネジになったらまず間違いなく輸入です。

ネジ1本が、ですよ?
信じられないかもしれませんが、
おそらくどこの工場も多かれ少なかれ同じような状況だと思います。

ちなみに、私がいた工場では簡単なネジの在庫もありませんでした。
在庫がないというか、いつでも手が届くところに置いてありませんでした。
なぜかというと、それを盗んで売ってしまう人がいるからだそうです。
工場の出口には必ずセキュリティがいて、荷物チェックを実施していました。

話を戻しますが、日本だとネジなんて当たり前のように手に入りますし、
本当にいろんな種類のネジが存在します。
それらを用途に応じて使い分けているわけです。

ネジですら手に入らないのに設備を構成する電子機器や油圧機器、
空圧機器なんて手に入るわけがありません。
ほぼ全部、日本か欧米か中国からの輸入です。

電装部品から機械部品まで、自国で生産することができないので
ほぼすべてを輸入に頼らざるを得ません。

部品だけなら輸入してくればいいじゃないか、
と思われるかもしれません。
確かにおっしゃる通りかもしれませんが、それだけじゃないんです。

部品が手に入っても、それを交換できる人がいないんです。

当然、部品は交換だけすればいいというものではありません。
まず用途に応じて適切な部品を選定しないといけないし、
そしてそれをうまく使えるように設定しないといけません。

それができる人がいないんです。

なぜそれができないのか。

私の見解では、教えられる人がいないから、です。

部品メーカーが充実している日本であれば、
まずはどのように選定すればいいかをカタログで読むことができます。

カタログでわからなければ直接メーカーに問い合わせることもできますし、
ちょっとお金を出せば直接メーカーさんに出向いてもらうこともできます
(打ち合わせだけなら来てもらったとしてもお金を取るメーカーさんはほぼありません)。

修理に来てもらった際に直接教えを乞うこともできます。
そうすれば、最初はお金を払って教えてもらうにしても、
次からは自分たちで修理することができるようになります。

ですが自国内にそういう部品、装置メーカーさんが皆無と言っていいインドネシアの場合、
それを教えてくれる人がいないんです。

インドネシアの国内に工場がないからまず部品や装置の構造を理解している人がいない。
構造を理解していないから修理できる人が育たない。

物を作れないと修理もできないですからね。

お客様相談室のようなものを作ることもできないんです。

そして一番大きな障害は、やはり言語だと思います。

自分たちの母国語で学ぶことができない。

そりゃ、英語のカタログもありますよ。
ですが、いくら英語が堪能だと言っても理解には限界がありますし、
そして何より、英語を話せる人はそれほど多くはありません。

都会だと英語を話せる人が多いようですが、
工場にいる人で英語をすごく流暢に話す人はあまり見たことはありません。
日本人よりは平均では話せる人は多い印象ですが、
不自由なくコミュニケーションができるレベルかと言うと、
たぶんそれほどではありません。
こう言っちゃなんですが、現場の作業者、保全マンの英語レベルは
からっきしと言ってもいいくらいです
(そこは日本もそう変わらないと思いますが・・・)

結局見せてもらうことができなかったのですが、
大学で使われている専門科目の教科書も英語で書かれていると言っていました。

自分たちの国の中で、自分たちで作って、自分たちの言葉で伝えられる。

そういう環境がないのでまず物がない、
自分たちで適切な物を選ぶことができない
あってもすぐに手に入らない
手に入ったとしても自分たちで交換できない
という状況に陥ってしまうわけです。

一般的に言われる先進国は、まず間違いなく産業が発展しています。
そしてその産業の発展を指させているのは部品メーカー、装置メーカーさんであり、
もっと言えば、自分たちの母国語で話せる範囲で思考し、選択し、交換できる環境にあります。

これこそが先進国である理由であり、インドネシアが今のところ先進国になれそうにないと感じる理由です。

それで言うと、私の知る限りだとこれから先進国になりえるのは中国とインドですね。

中国は言わずもがなかもしれませんが、
少なくとも工業の世界においてはインドは部品メーカー、装置メーカーが一通りそろっています。
質はまだいまいちかもしれませんが、それでも必要な性能を満たす物はだいたい作れますから
特に大きな問題はありません。

そんなことは言われなくてもわかっている、普通のことやんけ、
って言ってしまいそうな結論かもしれませんが、
なぜ中国やインドが先進国になりえるのか、
という理由を人口論だけじゃなくて産業論から考察してみるのも面白いんじゃないでしょうか。