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雨のセナ 本当に速いんです

今日はアイルトン・セナ3部作の最後です。

3部作ってのは私が勝手に作ったんですけどね。

3部作に加えて私が初めて見た生のレースについても書かせていただきたいと思います。

私の中でのアイルトン・セナのベスト3のレース。

1つめは1991年ブラジルGP

2つめは1992年モナコGP

そして、3つめは1993年ヨーロッパGP

です。

1992年は圧倒的な強さでナイジェル・マンセルがチャンピオンを獲得しましたが、
なんとチャンピオンが契約更新できないという前代未聞の出来事が発生。

自分のマシンに誰が乗ってもチャンピオンになれることを証明したかったチームオーナー、
フランク・ウィリアムズとの折り合いが悪くなってしまったことが原因だと言われています。

マンセルの後に座ったのはすでに3度のチャンピオンに輝いていたアラン・プロストでした。

セナも「無給でもいいからウィリアムズに乗りたい」と言っていましたが、
先に契約したのがプロストだったようです。

1992年ほどではないとはいえ、相変わらず優位性を持ったウィリアムズFW15と
三冠チャンピオンのプロストのコンビはチャンピオン候補の筆頭でした。

それに対して1992年でホンダがF1からの撤退を発表。
ホンダエンジンを失ってしまったマクラーレンは
非力なことで有名なフォードV8エンジンで戦わざるを得ませんでした。

いくらセナとは言ってもこのパッケージでは勝てない。
1992年に続いて苦戦を強いられるのは必死の状態でした。

開幕戦の南アフリカGPでは予想通りプロストが優勝。
またしても1992年の繰り返しになることを多くの人が予想しました。

ところが、です。

第2戦のブラジルGPで早速その年の初優勝してしまいました。

理由は、雨。

プロストが雨のレースを苦手としていることは有名でしたが、
一方でセナは雨が大の得意。

このレースでも序盤は力の差に苦しんでいましたが、
レース中に降り始めた雨に乗じてすぐさまピットインしてタイヤ交換を敢行。

一方のプロストはチームとの連絡ミスもあってピットインのタイミングを完全にミス。
スピンしていたマシンとクラッシュしてしまい、あえなくリタイアとなってしまいました。

こうしてセナは母国での2回目の優勝を達成します。

そして迎えた第3戦、ヨーロッパGP。
ヨーロッパGPといいながらも実際にはイギリスで開催されています。
F1は原則として1国1レースとなっているため、
同じ国で開催される場合は名前が変わるのです。

当時はサンマリノGPと呼ばれていたレースも実際にはイタリアのイモラで開催されていましたし、
1994年のパシフィックGPも日本のTIサーキット英田で開催されました。
これらも同じ理由です
(イタリアGPはモンツァ、日本GPは鈴鹿で開催されていました)

ヨーロッパGPが開催されたドニントン・パーク・サーキットは
歴史のあるサーキットではあるのですが、F1を開催するのはこの時が初めてでした。

誰も走ったことがないサーキット、そしてまたしても雨。
ブラジルGPでも優勝していたので、セナに対する期待が高まりました。

ですが、予選ではやはり力の差を見せつけられ、4番手で終えたセナ。
予選で4番手って上位陣がリタイアでもしない限りはなかなか優勝できる位置ではないんです。

そして、雨が降る中、レースがスタートしました。

4番手からスタートしたセナでしたがうまくスタートを決められず、
5番手まで落ちてしまいます。

この時点でトップはプロスト、以下デイモン・ヒル、ミハエル・シューマッハ、
ザウバーのカール・ヴェンドリンガー、そしてセナの順位です。

圧倒的に不利な状況の中、伝説のオープニングラップが始まります。

すぐさま次のコーナーでヴェンドリンガーをパスし、
立て続けにシューマッハを攻略しました。

ここまででもすごいのですが、まあセナであればこれくらいはやれるだろう、
とは思いました。
ヴェンドリンガーも、後々7度もチャンピオンになるシューマッハも
当時はまだそれほど際立った存在ではありませんでしたから。

ですが、セナの追い上げもここまでだろう。
ここから先はウィリアムズの2台がクルージングをするんだろうな・・・

と思いきや!!

なんとセナが2位のデイモン・ヒルに襲い掛かったのです。

アウトから強引にヒルをパスするセナ。

もうびっくりですよ。

それでなくても雨が降っていてスリッピーな路面ですし、
当日は気温も低く、スタートの直後の温まりきっていないタイヤで
こんなにリスクの高い追い抜きができるなんて!!

いやー、良いものを見せてもらった。
さすがセナ!!

もうこのレースの勝者はセナみたいなものだ、と思っていたら・・・

えっ!!??
まだいくの!!??

最終コーナーでセナがプロストをパス!!

まじで???
こんなマシン、こんな路面、こんなタイヤ、こんな天気でこんな走りができるの???

本当に天才という言葉しか思い浮かばないようなスーパーな走りでした。

実況の三宅アナが「セナの鬼神のような走り」という言葉が今でも思い出されます。

オープニングラップで5位に落ちながらも実力でトップを奪ったセナ。
この後もウィリアムズ勢が雨で翻弄されて自滅していくなか、
セナは淡々とトップを走り続けて見事に今季2勝目を挙げました。

今年も勝てないだろうと言われていたのに、早くも2勝目を挙げ、
圧倒的なチャンピオン候補であるプロストに勝利数で先行してしまったのです。

このレース、オープニングラップだけでもいいのでぜひYouTubeで見てもらいたいです。

さてさて。

すでにお話ししたように、セナは雨のレースを大の得意にしていました。

初めて優勝したレースも雨、初めてチャンピオンを取ったレースも雨。
雨にまつわるエピソードが多いのがセナ。
雨のレースはセナの代名詞とも言えるでしょう。

雨の場合、マシンの性能差が出にくいため、
その分ドライバーの腕前が出やすいと言われています。
雨で速いドライバーこそが本当に速いドライバー、というわけです。

私が初めて生のF1を見たのは1993年の日本GPでした。

結局ヨーロッパGPの後はモナコGPで優勝をしたのを最後に勝てなくなってしまいました。
あのマシンで3勝を挙げるだけでも十分なのですが、
やはりその後はウィリアムズの地力が勝り、セナは勝てなくなってしまいました。

そんな状況の中で行われた日本GP。
親父に頼み込んで連れて行ってもらいました。
先生に「F1に行くから休みます」と伝えて学校を休んで行きましたよ。
先生に怒られるかなあと思いましたが、
もう俺は何があってもF1に行くんだ!!
という気持ちです。
まあ、「それはお前が判断しろ」と先生には言われましたけどね。

金曜日のフリー走行はヘアピンで見ました。
今はどうかわかりませんが、当時は金曜日だけの指定席券というのがあったんですね。
初めての鈴鹿でどこに何があるかわからなかったので、
とにかく座れる場所で、ということでヘアピンで見ることになりました。

フリー走行が始まります。

まだ金曜日だから観客も多くありません。
ヘアピンのスタンドもガラガラだったと記憶しています。

シーン・・・

何の音も聞こえません。
本当に始まったのかなぁ?
と思っていたら、遠くからエンジン音が聞こえてきます。

きたっ!!!!!!

さっきまで遠くに聞こえていたエンジン音があっという間に近くにやってきました。

片山右京だ!!

ティレルを駆る片山右京が私が見た初めてのF1マシンです。

凄まじいまでの爆音を響かせてあっという間に目の前から消えていくマシン。
鳥肌立ちまくりですよ。
あの時の感動は今でも本当によく覚えています。

今のF1はターボになってしまったのでそれほど大きな音ではないのですが、
当時は自然吸気エンジンを使っていたのでものすごい爆音でした。
いや、これは言葉では言い表せない音なんです。
特にV12エンジンが奏でる甲高いエンジン音は本当にしびれました。
ホンダがいなくなってからは確かV12エンジンを搭載するのはフェラーリだけだったと思いますが、
フェラーリが目の前を通るたびに空気が震えるんですよ。
あの音が最大の魅力といってもいいくらいなのに、なんでターボにしてしまったかなぁ・・・
本当に残念です。

まあ、そんな話は置いておいて、迎えた決勝。

自由席しか持っていなかった私と親父は、
超満員のサーキットの中でとにかく座れる場所を探してさまよった結果、
逆バンクコーナーで決勝を見ることになりました。

本当は1コーナーとかS字で見たかったのですが、
人気のある場所だったので空きなんて一切ありません。

仕方なく逆バンクで見ることになりました。

このコーナーはとても見やすいとは言えないようなコーナーで、
あまり長い間マシンを見れる場所でもないし、追い抜きがあるわけでもない、
実に地味なコーナーなんですね。

でも、チケットがないんだから仕方がありません。
空きがあっただけでも良しとするか、といった感じです。

レースが始まりましたが、正直退屈な時間が続きました。

ですが、またしても途中で雨が降り始めたのです。

カッパを着て雨のレースを見守り続ける私と親父。

ですが、ここで雨のセナの凄さを実感しました。

このコーナー、晴れている時ってあまり速度差がわからないんですね。
トップを走っているマシンと下位のマシンでも見た目では速度差がわからないんです。

そりゃそうですよね。
トップと下位のマシンでも5.8キロのサーキットを走って数秒しか差がつかない世界なので、
目の前の数百メートルだけを走るマシンの差なんて素人にはわかるものではありません。

ですが、この時のセナは明らかに違いました。

肉眼でも他のマシンとの速度差がわかるくらいの速さで走っていました。

プロストでもフラフラとふらつく感じでしたが、
セナはピタッと吸い付くように安定した走りをしていました。

この時に私は『雨のセナ』を体感することができたのです。

見にくい決勝でしたが、これを感じることができただけでも私は十分でした。

結局このレースでもセナは優勝、今季4勝目を挙げました。
最終戦のオーストラリアGPでも優勝して、この年5勝を挙げたセナ。
あのマシンで5勝も挙げられるのはセナだったからだと言えます。

本当にセナはすごいドライバーでした。

いかがだったでしょうか。

ただの私の感動日記みたいになってしまいましたが、
私としてはどんどん文章を書き進めることができました。

当時のことを熱く語り合える仲間の方がいらっしゃったら、
ぜひコメント欄にコメントを残していただけるとうれしいです。