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緊張感と罵倒の境目とは? 野球部の指導から考える

こんにちは。かこかと申します。

最初に簡単な自己紹介をさせてください。

  • 大手企業の生産技術を研究/開発する部署の課長
  • 金属切削の製造技術歴 約20年
  • 上司と部下の人間関係を中心に仕事のことを書いています
  • インドネシア駐在経験あり。インドネシア語検定C級持ってます
  • 小さくてもいいからガッツポーズができる人生を目指しています
  • 現在簿記3級の勉強中。試験は今月下旬です。

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Twitterもやってます。

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私の次男は中学校の野球部に所属しています。

週末も休みなく、毎日練習に参加しています。

親である私も週末の試合はできるだけ見に行くようにしているのですが、
いつも気になるのが監督の横柄な態度です。

監督によって多少の違いはあるものの、だいたいどこの中学の監督も同じ。
とにかく怒鳴り散らすんですよね。

あれを見ていると本当に気分が悪くなります。

一方で中学男子に言うことを聞かせるためにはある程度厳しく接しないとダメなのかな、
と思う時もあります。

今回はこの辺りのことについて思うところを書いてみたいと思います。

Baik, ayo mulai !! 🤩
(インドネシア語で、それでは始めましょう、の意味です😋)

 

もくじ
  1. 緊張感と罵倒の違い
  2. 私からの提案
  3. 野球部と会社は同じ

 

緊張感と罵倒の違い

いつも怒鳴り散らしている監督。

これに辟易としてしまうのもまた事実ですが、
前述のように中学男子に緊張感を持って何かに取り組ませるためには
力ずくで臨むというのも仕方がないのかなぁ、と思うこともあります。

たとえばグランドの線引き。

中学男子であれば、試合のために必要であったとしてもほっておいたら誰もやらないでしょう。

やったとしてもグニャグニャに曲がった線を引いたりして、使い物にならなくなってしまうことも想像できます。

トンボかけもそうですよね。
ある程度強く言わないとやらないでしょう。

一番大事な練習にしてもそうですよね。

緊張感がない状況でやってもうまくならないし、下手をすればケガにつながることもあります。

そういう意味では緊張感を持って試合や普段の練習に臨ませるということはとても大事であり、そのための手段として威嚇するというのは仕方がないかなと思います。

では、緊張感を持たせるための威嚇と罵倒の違いは何なのでしょうか?

私はその違いは人格否定と暴力だと思っています。

人格否定というのは、

お前はバカか!!

何度言ったらわかるんだ!!

そんなんだったら辞めてしまえ!!

言われたとおりにやってればいいんだ!!

というやつですね。

これは絶対にダメなやつです。

選手の心に傷をつけてしまう可能性が高いからです。

こういうセリフをまるで当たり前かのように吐く監督がいますが、
そうやって怒られている生徒を見ていられなくなります。
相手校の監督であっても、その中学校に密告してやろうかとすら思います。

監督といっても学校の先生ですからね。
そういうことを言ってはいけないということを教えないといけない立場の人間が
平気でそれを使って一番大事な生徒の心を傷つける。

教育者として完全に失格です。

ましてや暴力なんてありえません。

時々、愛情があるから手が出るんだと言って正当化するような意見を聞くことがありますし、
愛があったら殴ったとしても生徒はわかってくれる、なんてことを言ったり、殴られることをありがたがったりする人すらいます
(意外と親がそれをありがたがったりすることもあります)。

私にはまったくもって理解できません。

なぜ暴力を振るわれてまで野球をやらないといけないのでしょうか?
愛があったら殴っていいなんて、どう解釈すればその理屈が成立するのでしょうか?

一度教えてもらいたいものです。

 

私からの提案

罵倒ではなく、緊張感を持たせるための威嚇であればアリかなと私は思っていますが、
これまでいろんな監督の指導を見てきましたが、いつも思うことがありました。

今回はそれを選手指導の際に気を付けてもらいたいこととして提案したいと思います。

① 何が悪いかを説明してあげてほしい

監督さんは野球経験が長く、野球のセオリーをよく知っているでしょう。

ですが、生徒はそれほど経験がありませんので、判断を間違ってしまうことがよくあるでしょう。

その時に、

こうやるのが当たり前だろう!!

なんでそれがわからないんだ!!

もっとよく考えろ!!

ということを言わないでもらいたいと私は思っています。

監督がこのような注意をした時、たいていの生徒はポカンとしています。

おそらくですが、何が悪かったのかがよくわかっていないんだと思います。

そうなると、生徒は自分の悪いところを修正することができませんし、
正解がわからないまま同じ場面に出くわした時に、
どうやったら怒られずに済むかという判断基準で行動してしまいます。

そんなことでうまくなるわけがありません。

私が今まで見てきた中でとても優れていると思った監督さんがいるのですが、
その監督さんのことを紹介したいと思います。

野球って「声を出せ」って言われますよね。

生徒はとにかく声を出せと言われますが、どうしても声が出なくなる時があるんですね。

そういう時に場を盛り上げるための精神論として声を出せということを強要しがちですが、
その監督は違いました。

なぜ声を出さないといけないかをきちんと理由を付けて説明してくれました。

声を出さないといけない理由は3つある、と。

まずは味方を鼓舞するため。
これが最もわかりやすい理由であり、誰しもが理解しているところだと思います。

ですが、声を出す理由はそれだけではない、と。

2つめの理由は、声を出すと力が出るからだと。

声を出せば人間は瞬間的に大きな力を出すことができる。
だから声を出さないといけないんだ、と。

そして3つめの理由は、コミュニケーションを取るためだそうです。

野球は常に味方とコミュニケーションを取る必要があります。
ですが、普段から声を出していないといざという時に声が出せない、と。

だからこそ常に声を出すようにし、いざという時にもすっと声が出せるようにしないといけないのだ、と教えていました。

なるほどー、と思いませんか?

こうやってちゃんと説明をしてくれれば、声を出せと注意された時にすっと声を出せるようになるのだと思います。

 

② 一番大事なことが何かを教えてほしい

野球だけではないと思いますが、スポーツというのは常に判断を迫られるものです。

ですが、特に経験が浅い中学生だと常に最適な判断ができるわけではありません。

そうなった時に迷わずに行動できるように、これだけは必ず守るように、
という考え方の軸をきちんと提示してあげてほしいと思います。

これも私が尊敬している監督さんの例で紹介したいと思います。

この監督さんがリードの指導をしている時のことです。

リードする時に一番大事なことはなんですか?

と選手に聞きました。

できるだけたくさん前に出ること

ピッチャーの動くを良く見ること

など、生徒は自分の意見を出していましたが、この監督さんが言うには、

絶対にアウトにならないこと

だそうです。

リードをする場合に最悪の事態は牽制されてアウトになってしまうことである、と。

アウトにならないためにはどういう動きをすればいいか、ということを教えてくれたんですね。

ぴょんぴょん跳ねるようにリードを取る選手に対しては、
もしジャンプした時に牽制されたすぐに戻れるか?
と問いかけて修正する。

蟹歩きのように前に出る選手には、
足が交差した時に牽制されたらすぐに戻れるか?
という問いかけて修正させるんですね。

その他にも挟殺プレー時の守備で一番やってはいけないことはランナーを進塁させることだ、と宣言していました
(挟殺プレーとは、例えば1塁にいた選手が塁から離れてしまい、2塁と1塁の間で挟まれてしまう場合のことです)

挟殺プレーの場合、一番良いのはランナーをアウトにできること。
次に良いのはアウトにできなくても相手を元にいた塁に戻すこと。
最悪なのはミスをして進塁させてしまうことだ、と。

何があっても進塁だけは阻止しないといけない、ということなんですね。

だから、挟殺プレーをする時もできるだけランナーを元の塁に近いところに追い込むようにしなさい、という指示ができるんですね。

ランナーをアウトにしないとダメ、という風に教えてしまうと、それ以外のプレーは全部ダメなプレーになってしまいます。
アウトにできなかったらどうしよう、と委縮してしまうこともあるでしょう。

ですが、最悪の状況だけ決めておけば、アウトにはできなくても進塁させなければいいんだ、という風に自分で選択肢を持つことができます。
そうすれば選手は失敗を恐れずにプレーできるようになるでしょうし、監督の顔色をうかがいながらびくびくプレーする必要もなくなります。

もちろん、監督によって何が一番大事かは変わると思います。
だからこそ、俺の考えはこうだ、というのを分かりやすく宣言しておく必要があるのです。

そうすれば選手が間違った行動をとってしまった場合でも、
この考え方に反しているから間違っているんだよ、と指摘することができますので、
選手は何が悪かったのかを考えることができるわけです。

 

③ 同じ目線で話をしてほしい

監督の言動の中で一番イヤなのが、自分だけ椅子にふんぞり返りながら直立不動の生徒に長時間罵声を浴びせ続ける、というやつですね。

あれは本当になくしてもらいたい。

あと、ランナーに指示をサインを出す時に座りながらサインを出す監督もいます。

いや、普通に見えへんって、と思いますよね。

あとは、生徒が挨拶をしているのにポケットに手を突っ込んだままで素通りする監督もいます。

こんな態度で選手と接していて、選手はちゃんと監督の言うことを聞けるでしょうか?
普通に社会人として最低レベルの行動を監督が、そして学校の先生が取っているというのが本当に信じられないし、情けなくなります。

選手に指示を出す時はきちんと立つ。

叱責する時も選手と同じ目線で話をする。

挨拶をしたらきちんと返す。

指示したことをやり遂げてくれた選手に感謝を伝える。

そうでないと選手も素直に話を聞くことができないばかりか、監督に対して恨みしか残らないと思うんですよね。

 

野球部と会社は同じ

いかがでしょうか?

ここまで来て何か皆さん思いませんでしたか?

そうです、これって野球部だけじゃなくて会社でも同じことが言えると思います。

さすがに最近は会社で暴力をふるう人はいなくなっていると思いますが、
ここで述べた監督のような言動を取る人はまだまだ多いのではないでしょうか?

私は野球部(だけじゃなくて、体育会系全体と言えるでしょう)は日本の社会を暗くしている原因の一つだと思っています。

こうやって理不尽なことに子供の頃から慣れていると大人になった時に役に立つ、
ということを平気で言う大人がいますが、
いやいや、そういう理不尽な社会を是正することを考えようや、と言いたくなります。

監督と選手、上司と部下の関係は似ていると思います。

監督は選手と真正面から向き合うのではなく、後ろから押すのでもなく、
横に並んで腕をつかんで伴走してあげる必要があると思っています。

この辺りのことはこの本に上手に書いてあるので、手に取って読んでみると良いと思います。


 

管理職をしているそこのあなた。

あなたはここで出てきた監督のような態度で部下と接していませんか?

そんなことをしていたら、いつか痛い目に会いますよ。

 

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