仕事

飲み込みが悪いのはバカなわけじゃない 野球部の練習に思う

私の息子は中学校で野球部に所属しています。

時々練習や試合を見に行くのですが、常に怒鳴っている監督を見ていると
日本社会の縮図に思えて仕方がないです。
パワハラがなくならないのはここに原因があるんだなと考えています。

野球部だけではなく、いわゆる体育会系全体のことだと思いますが。

 

  1. 言われていることを理解できていない
  2. 悪い指示の代表例 反省できない
  3. まとめ

言われていることを理解できていない

精神を鍛えるという名目かどうかは知りませんが、
狂ったように怒鳴り散らしている監督の指導法の中でも一番ダメだと思う指導方法は

相手(選手)が理解していないのに怒鳴る

ということだと思っています。

エラーをしてしまった選手を監督が怒鳴り散らしています。

そんなんだからダメなんだ!!

今までどんな練習していたんだ!!

言われたとおりにやれ!!

聞いているだけでも気が滅入る怒声です。

ですがそういう光景を見ていていつも思うのは、

指示に対して納得している選手がほぼいない

ということです。

少なくとも私にはそう見えます。

以前、息子の野球練習の手伝いをしていたことがあるんですが、
私は三塁の守備を任されました。

私は野球なんて子供の頃の草野球でやった程度の経験しかありませんから、
いくら少年野球と言えども不安で仕方がありません。

そんな状態なのに、監督から全体に指示が出ました。

その監督は大学まで野球をやっていた人で、
高校の時は甲子園を本気で目指すような学校でキャプテンをやっていたような人でした。

その監督から

『三塁、ニアベース~~~~』

と指示を出されました。

ん???

ちょっと待って。

わからんわからん。

ニアベースって英単語の意味はわかるけど、

今の位置がベースから近すぎるって意味?

それとももっとベースに近付けって意味?

あかん、わからんわからん。

と思って結局指示に従わずに突っ立ってました🤣

そしたら監督に怒られるんですね。

まあ、大人同士だから怒鳴られることはないんですが、
ニアベースですって!!
って言われるんです。

いやいや、こっちはその意味がわからんのよ、と。

まあ、私の例は野球の常識からするとひどい例なのかもしれませんが、
その時のことを思い出すと
監督が出した指示を選手達はきちんと理解できているのだろうか?
と疑問に思ってしまうような指示が出ていることが本当に多いです。

そのような指示を出された選手は、あの時の私みたいに
どっちの意味で取ればいいのかがわからないので途方に暮れてしまいます。

そして監督の(本来意図していた)指示通りに動かないと
だから言ったやろっ!!!
何してんねんっ!!!
と怒られるわけです。

そして、指示の背景も教えてもらえない。

考えて野球やれ!!

と言われて終わりです。

ニアベース、と言われて監督の指示通りに動ける選手はそりゃいいでしょう。
一方でそれができない選手は飲み込みが悪いヤツと認定されてしまうわけです。

でも、ですよ?

いわゆる飲み込みが悪い選手というのは、
一つの指示に対して2つの選択肢が頭に浮かぶわけです。
ニアと言われてベースに近付くことしか頭に浮かばなかった選手よりも頭を使っているわけです。

それが本当にできの悪い選手なのでしょうか?
選手の飲み込みが悪いというか、むしろ監督の指示の出し方が問題じゃないですかね?
(繰り返しますが、私のニアベースの例が説明に適してなかったらごめんなさい)

自分が言ったことが相手にすべて伝わっている。
だから理解できない、実行できないのはすべて相手が悪い。

そう思っている監督、上司などのいわゆるリーダー、指導者は本当に多いと思います。

そんなつまらない指示と怒声でなくなってしまった選手のモチベーションを返してもらいたいものです。

悪い指示の代表例 反省できない

もう一つの悪い指示だと思うのは、

自分の行動を反省できないような指示

です。

さきほどのニアベースの例で言うと、もし監督の言われた指示の意味がわかり、
きちんとベースに近付くことができたとします。

その場合というのは一つの選択肢を捨てるということになるわけです。

この場面で三塁線を抜かれたら長打になって大量得点になってしまう。
だからショート寄りのヒットになるという可能性を捨て、
より状況に応じた選択をする。

だからこそニアベース(ベースに近付け)という指示を出しているのだと思うのですが、
もしショート寄りのヒットになってしまった場合、その選手はどう思うでしょうか?

たぶん、自分が三塁に近付いたからヒットになってしまったんだ、
自分の行動は失敗だったんだ、と思うかもしれません。

ですがこの場合、明らかにこの選手の行動は正解ですよね。

その時にやってはいけない最大のリスクを防いだわけですから。

それを選手自身が反省できるかどうか、というのがここでは一番大事だと思うんですね。

自分はこう思ったからこのように動いた。
でも、結果は思ったのとは違う結果になってしまった。
自分の考えの何が悪かったのか。

もしそうやって反省ができているとするならば、
監督は指示を出したり失敗を怒るのではなくて、
選手の考え方を聞いてやり、その考え方の何がおかしいのか、
どのように考えれば良かったのかを指導してやる必要があるんです。

ですが、一般に行われている指導は、
選手が失敗したという結果論で怒鳴り散らすのがほとんど。

あるいは、選手の挑戦を許さないような、選択肢をなくしてしまう絶対的な指示があるのみ。

これじゃ選手は反省することができず、伸びなくなってしまいます。

監督の指示を間違えずに実行できる選手は、監督からしたら優秀な選手かもしれませんが、
いざ自分で考えて行動しないといけない状況になった途端、
選択肢を与えてくれる人がいないので自分で行動できなくなってしまうわけです。

あるいは監督に怒られることにおびえてしまって、考えることを放棄してしまっている選手もいると思います。

どうせ何をやっても怒られる。

だったらもう考えるのはやめよう。

そんな風に思っている選手が多いように思えてなりません。

まとめ

野球部の練習の例で見てきましたが、この手のことは会社の中でも日常的に見られる光景です。

それもあって、日本社会の縮図という冒頭の言葉につながるわけです。

飲み込みが悪いのは決してバカだからじゃない

失敗しないように思った指示が選手(部下)の考える力を奪っている

ということをちゃんと理解するべき上司がこの世にはいっぱいいます。

自分の指示がわかりやすいものか?

自分が思った通りに部下が動かない場合、頭ごなしに叱責するのではなく、
きちんと行動の理由を確認しているか?

これは全上司、全リーダーに肝に銘じてもらいたいと思っています。