仕事

真実は泥の中にある 愚痴は決して悪くない

みなさん、グチって言わないですか?

はっきり言って、私はグチが多いです。
自分でも自覚しております。

ですが、私はしっかりと向き合いさえすればグチは悪いどころか、
未来へのヒントがいっぱい詰まっているとすら思っています。

今日はグチについて書いてみたいと思います。

  1. グチを言う人は2つに分けられる
  2. グチを言いなさい
  3. 泥中の蓮華

グチを言う人は2つに分けられる

みなさんはグチを言うことは悪いことだと思っていないでしょうか。

グチを言ってる暇があったらさっさと仕事をしたらどうなんだ?
なんて上司や先輩から言われた人もいらっしゃると思います。

ですが、冒頭にも書いたように私はグチ自体は悪いことではないと思っています。

グチって大きく2つのタイプに分かれると私は思っています。

ひとつは

他人が聞いて気分が悪くなるグチ

一般的にグチというとこういうイメージがあるので悪く捉えられることが多いでしょう。

  • 上司や同僚の悪口
  • 会社や部下への不満
  • 自分が不遇であることへの不満

などなど。

人は日々こういう不満を抱えているもので、ムカつく上司や同僚のネタを肴に
居酒屋で酒を飲むサラリーマンはたくさんいますよね。

私の知り合いで、とにかくグチが多い人がいます。
Bさんとしましょう。

このBさん、もうね、何を見ても何を聞いてもグチに変えるんです。
驚きを通り越して笑えてくるくらいなんです、ほんとに。

オンライン会議が普及してきていますが、会議中に参加者同士でチャットってできますよね?
Bさんが出席している会議に私も参加することがあるのですが、
会議中ずっとBさんからグチのチャットが送られてくるんです。

よくもまあそれだけグチが言えるなあと感心させられます。

そういう人のグチの特徴は、人や物事のあら探しをする物が多いということです。

こういうグチは自信過剰な人に多いような気がしています。

自分では何もできないくせになぜか自信だけは満々で、他人に対して上から目線で文句を言う。
前向きではなく、後ろ向きなニュアンスの内容が多い(ってか、ほとんど)。

そういうグチは本当に聞いてても気分が悪いですよね。
あまりにBさんのグチがひどいので、私もBさんに文句を言ったことがあります。
なんでも悪く捉え過ぎだ、聞いてて気分が悪い、と。

それ以来、Bさんは私にあまりグチを言わなくなりました。
というか、Bさんから距離を取られているのを感じています。

でも、それに対して特に何も思ってないんですけどね。

他人が聞いて気分が良くなるグチ

もう一つはまったく真逆のグチ、気分が良くなるグチですね。

気分が良くなるグチ!?
そんなのあるの???

って思うでしょうけど、あるんですよ、はい。

同じように居酒屋でグチを聞いたとしても、なぜかこっちも昂ってきた、
なんていう経験、ありませんか?
あー、この人はこういうことを考えているんだな、とか、
俺もこの人の言う事には賛成だ、というような内容のグチです。

つまり、Bさんのようなタイプのグチではなく、
過去や現在から未来につながるグチ
とでも言うんしょうか。

俺は今の状態は良いとは思わない、俺ならもっとこうする、こうしたい、
そのためには誰々さんには我慢してもらわないといけない。

夢や理想論だけを並べるわけではなく、確かにどこかしら、誰かしらに対する不満も含まれるんでしょうけど、
粗を探すのではなく、現在の問題や課題を認識し、未来を見据えているグチってありますよね。

まあ、こういうのはグチとは言わないのかもしれませんが、どこにベースを置くかによって
グチが本当のグチになるのか、未来へのヒントになるのかが変わってくるわけです。

過去と現在にベースを置いたグチ ⇒ 聞いているのが苦痛な本当のグチ

現在と未来にベースを置いたグチ ⇒ 自分にも気づきや希望が得られる前向きなグチ

 

グチを言いなさい

私は部下との面談を大切にしています。

新しい職場に行ったら必ず全員と個人面談を行いますし、
時間の許す限り定期的に全員と1対1での会話をする機会を設けています。

その中で私は必ず、部下のグチを聞くようにしています。
特に、うまく仕事が回せていない部下にはしつこいくらいにグチを聞くように心がけています。

それはなぜかというと、グチの中に改善にヒントがある、と思っているからです。

なぜうまく仕事を進めることができないのか、
環境のせいでも誰かのせいでも、なんでもいいから悪口やグチを言わせるようにしています。

そうすることによって得られる情報は2つあります。

ひとつは、その人が仕事を回せない本当の理由を知ることができる、
ということです。

  • このシステムが使いにくくて時間がかかってしまう
  • 誰かに質問をしても教えてくれない
  • 誰々さんが怖くて話をすることができない

などなど。

自分ではどうしようもない環境のせいで仕事が回らないというのであれば、
その環境を改善してあげるのが上司の役割です。

そして、私からは見えていない環境の悪さとか、誰かの態度の悪さとか、
そういうことも見えてくるようになります。

もうひとつは、部下本人の考え方を正すことができる、というものです。

先述の通り、グチは2通りあると思っています。

グチを言う本人は誰しもが自分に正義があると思い込んでいます。

さっき出てきたBさんも同じで、自分が正しい、と思ってグチを抱えているんです。
だけど、他人から見ると実は未来のグチではなく、過去のグチだったりします。
自分ではグチが良いグチか悪いグチかがわからないものなんですよね。

それを他人の前で口に出してみると、
あれ?俺ちょっと変なこと言ってるなあ、って気づくことがあるんですよね。

私自身が実際にそういう体験を何度もしたことがあるので非常によくわかります。

グチを自分の中だけで抱えるのではなく、他人の前で並べてみる。
そうすると実は自分が変なことを言ってるということに気付けるんですよね。

もちろん、自分で気づけない人には上司が指導してあげる必要もありますが、
とにかく見える形、聞ける形でまずは吐き出させること。
そうしないと自分にも他人にもわからないものなんです。

私はこのような考えでもって、特に伸び悩んでいる部下に対してグチを求めます。

ですが・・・グチを素直に言ってくれる人ってあまり多くないんですよね。

いくら「グチを言っていいよ」と上司に言われているからと言って、
素直に口に出せるものではないのかもしれません。
そういう可能性は認識しながら聞き方を変えてみたりするなど、
手を変え品を変えて情報を引き出す術が上司には求められると思っていますが、
逆に私はグチを抱えていない方が危ないとも思っています。

なぜならそれは現在の問題や課題を認識できていないと思われるからです。

実は、仕事ができる人の方がグチが多いという印象を私は持っています。
なので、できるだけ部下にはグチを言ってもらいたいと思っているわけです。

泥中の蓮華

タイトルにもあるように、私はグチの中にこそ真実があると思っています。

泥中の蓮華というのは仏教の教えのようですが、
泥の中のような綺麗とは言えない環境の中で育った蓮がきれいな花を咲かせる、
という意味だそうです。

弱音や不満、不安など、一見すると汚いものと思われるような物にこそ真実がある、
という私の考えと同じ意味合いなのかな、と思っています。

特に日本人の場合、弱音や不満を悪いものとして捉えがちです。

私がいたインドネシアだと、言い訳にもならないような言い訳をよく聞きました。

また、部下との面談でグチを言ってもらう時にも、必ずと言っていいほど
「これはグチかもしれませんが・・・」
と申し訳なさそうな断りから話し始めます。

それだけグチを言うこと、不満を持つこと、弱音を吐くことが悪いことだという価値観が刷り込まれていると言ってもいいでしょう。

私はそのセリフを言われた時には必ず
「いいんだよ。グチの中にこそ真実はあるんだから」
と言って部下のしゃべりを滑らかにしようとしています。

さきほども出てきたBさんのグチ。
確かに聞いていて気分が悪いのですが、実はこれもダメなものとして一刀両断できない、
いや、してはいけないところがあるとも思っています。

というのもこのBさんのグチ、言い方はとても悪いですが、内容自体は的を得ていることもたくさんあるんです。

Bさんのことをよく知っている人から共通して出るBさん評は
「間違ったことは言ってないんだけど・・・」
というものです。

そうなんです。
Bさんも言い方、言うタイミング、言う人によっては悪いグチから良いグチに変えることもできるんです。
それができるかどうかは、その人の心の持ちよう以外にはありません。

私はBさんのことが嫌いじゃないので、なんとかBさんにそれに気づいてほしい、
そう思っています。

何度か遠回しにそのようなことを言いましたが、Bさんは
「大丈夫。わかってるから。」
と言って改めようとはしませんでした。

Bさんにとって私が年下だったからアドバイスを素直に聞けないのかもしれません。

ですが、本当にもったいないことだなあと思わざるを得ません。
せっかく良い批評の目を持っているのにそれを有効に生かせないなんて。

グチの中にこそ真実がある。
それを活かすも殺すも本人、上司次第です。

部下であるあなた。
時には上司にグチを言っても良いんですよ。

そして上司であるあなた。
部下のグチは自分に対する批判だと思って、真摯に向き合うようにしましょう。