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人事評価で一番大切なことは何か?

かこか
かこか

こんにちは。かこかと申します。

 

サラリーマンである以上、必ず付いて回るのが人事評価です。
自分の仕事がどのように評価されているのか、気になるところですが、なかなか理解しにくいものだと思います。

人が人を完全に客観的に評価するのは非常に難しいことだと思います。
評価される側も言いたいことはあると思いますが、実は評価する側も結構悩んだりしているんです。

今回は私の経験を基にして、どうすれば部下と上司の双方が納得のいく人事評価ができるのかについて書いていきたいと思います。

かこか
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この記事はこんな方にオススメです
・ 自分の人事評価に納得がいっていない人
・ 人事評価方法の不透明さに不満を持っている人
・ どうすれば部下に納得してもらえる評価ができるか迷っている管理職

 

もくじ

1.そもそも満足できる人事評価は少ない

2.部下に納得してもらうために私がやったこと

2-1.必要な力量を大枠でいいから明確にする
2-2.力量の段階をいくつかに分ける
2-3.数値で段階を表せるようにする
2-4.最初に自己採点をしてもらう
2-5.上司の採点結果と自己採点結果を照らし合わせて話し合う

3.それでもやっぱり人事評価は難しい

 

そもそも満足できる人事評価は少ない

私が担当者だった頃の話です。

入社したすぐの頃は目先の仕事をこなすことに必死で人事評価なんて気にもしなかったのですが、少しずつ慣れてきて自分の仕事にも自信を持てるようになってくると、それがどのように評価されているのかが気になってくるものです。

ある年、私は6000万円のコストダウンに成功しました。自分で企画を作り、トライアルを繰り返しながら検証し、それまで必要であった設備の数を減らすことに成功しました。その結果として、6000万円のコストダウンが実現できました。

仕事の内容に満足していたところもありますが、これだけのことをやったのだから今年は良い評価がもらえるだろう、AどころではなくSももらえるかも、と楽しみにしていました。

ですが、結果はB評価。
良くも悪くもない評価でした。

私の会社では一番良い評価がSで、そこからA、B、C、Dと続いていきます。

その頃私は会社で働き始めて10年くらいが経過していましたが、S評価を取ったことがありませんでした。Sというのはそもそも普通は与えられないものであり、特別な時にしかもらえないものだと勝手に思っていたくらいです。

ところが、数名の同期社員に聞いたところ、私以外のほとんどがS評価をもらったことがあると言っていました。

Sなんてメタルスライムのようにレアであり、ほとんど誰ももらっていないと思っていたので、Sが比較的多く与えられていることに驚いたと同時に、なんでこんなに頑張っているのになんで俺だけSがもらえないんだ・・・ととても悲しい思いをしました。

そんな中で6000万円のコストダウンを達成したので、自分なりに頑張ったなどというあいまいな状態ではなく、明確に数字の成果を出したのだから、今年こそS、悪くてもAがもらえるだろうと期待していました。むしろ、今年Sがもらえなければ俺は一生Sをもらうことはないかもしれない。それくらいに思っていました。

ですが、結果はB。

今でもその結果を知らされた時のショックは覚えています。

それまでは評価結果について上司に質問をしたことはなかったのですが、さすがにこの時はなぜ自分の評価が上がらなかったのかを聞きました。ですが、上司は明確に理由を教えてくれませんでした。それどころか、
「S評価なんて欲しいか?仕事が認められていればそれで充分じゃないか?」
というようなことを言われました。

なんというか、せっかく頑張って成果を出したのに、むしろ期待した自分が悪かったのかと悲しくなったのを覚えています。

後になって人事評価にも諸事情があることを知りましたが、その時にはそんなことは知りませんでした。結局人事評価なんて大部分が雰囲気で決まっているんだろうなとその時に思い知らされたわけです。

人事評価の曖昧さについては別記事に書いていますので、こちらも参考にしてみてください。

頑張っても意味がない!? 人事評価の裏側を教えます今回は人事評価について書きたいと思います。 サラリーマンであれば自分の評価って気になりますよね。 それによってもらえる給料の額が...
かこか
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そんなことも知らなかったのはウブ過ぎると言われてしまいそうですが、自分で言うのもなんですが、それくらい一生懸命仕事をしていました。

私はこの時に自分の中で決めました。

かこか
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自分がいつか評価する側になったら、絶対にきちんと評価の理由を説明できる管理職になろう

ここからはこの決意を基にして実施した方法について説明していきたいと思います。

 

部下に納得してもらうために私がやったこと

2-1.必要な力量を大枠でいいから明確にする

まず、そもそも自分たちが所属している部署がどこを目指していて、どんな人材を求めていて、どういう成果を出してほしいかを明確にする必要があると思います。

たとえば生産現場に近い部署と、お客さんに物を販売する営業の部署で評価基準が同じであるはずがないわけですから、自分たちの部署が目指すべき方向性を明確にする必要があります。

一番良いのは会社の人事部などが評価基準を明確にしてくれていることですが、そのような基準は存在しないか、存在していても当たり障りのないことしか書いていないでしょう。ですが、会社が基準を出している以上はその基準に従う必要があるのは当たり前だと私は思っています。それが意訳であったとしても、自分たちの部署の方向性、求められる成果に関連付けられている必要があります。また、それができていれば部下に方向性についての説明を求められた時にも自信を持って説明することができるというメリットもあります。この方向性や求められる人材像は私が勝手に言ってるわけじゃなく、会社が言ってるんだからそこに方向性を合わせるのは当然である、ということを毅然とした態度で言えるようにしておくのが良いと思います。

この辺りのことも踏まえつつ、まずは自分の部署で求められる〇〇力を決めていきます。たとえばですが、私の部署では次のような〇〇力が求められています。

  • 技術力
  • 企画力
  • 協調力
  • 問題解決能力
  • 指導力
  • 意欲、実行力

です。

中でも一番重要な力である技術力については次のように細分化しました。

  • 工程設計力
  • 設備導入力
  • 生産性向上力

特に目新しい能力があるわけではないですが、改めて並べてみると、まあ、そうだよな、と納得してもらえるのではないでしょうか?

このようにして、自分の部署が成果を出すために必要な人材像、発揮してもらいたい能力をざっくり並べてみました。

2-2.力量の段階をいくつかに分ける

これらの必要とされる能力が明確になったら、次はこれらの能力をもっとわかりやすい形に細分化します。

たとえば企画力と一言で言われても、どんなことができれば良いのでしょうか?これは人それぞれで答えが違うでしょう。ですが、人事評価をするにあたっては、人によって答えが違うような軸で評価をしてはいけないというのが私の持論です。全員が納得できるかどうかは別として、少なくとも評価の軸が明確になっていないといけません。それができていないと、前述したような雰囲気での評価になってしまいがちです。

私が思うに、細分化する時には定量的な設定にするよりは定性的な設定にした方が良いと思っています。

たとえば、「売り上げ〇〇%増加を達成できる」というような目標値はここでは適切ではないと思っています。なぜなら、この数値目標を設定したら終わってしまうからです。さきほど曖昧な評価軸ではダメだと申し上げましたが、ここでは定性的な表現として、個人によって多少なりとも解釈をする余地を与えてもいいと思っています。なぜならそれが次の成長へのヒントになるからだと思っています。

私が作った評価表の中の「企画力」にどんなことが書かれているか、紹介したいと思います。

拠点、部品(ユニット)、あるいは会社の将来を見据えたロードマップを作成、提案できる

ちょっと何言ってるかわかりません状態かもしれませんが、これを企画力の最上級の状態として10点を付けています。これさえできれば、他のどんなことにも応用が利くような状態をめざすべき状態として定義しているわけです。

2-3.数値で段階を表せるようにする

2-2で最上級の状態を設定しましたが、次にやることは最低限の状態を設定することです。その最低の状態を1点とするわけです。

たとえば最低のレベルというのは、経験したことがない、とか、あるいは本当に初歩的な状態を設定すると良いでしょう。誰もが最初に経験するような基礎的なルーティン業務ができる、というような状態を設定しても良いと思います。

最上級と最初級の設定が終われば、あとはその間を埋めていくようにすればいいです。

1と10が終われば次は5、次は3、次は7、というような具合です。

1、5、10の状態を先に設定しておけば、その間を埋める状態というのが想像しやすいので設定しやすくなります。

本当は10段階すべての状態を明確に設定してあげるのが良いのかもしれませんが、なかなかそれだと細かすぎて設定するのがしんどくなるのと、考えるための行間を持たせるためにも全部は不要かなと思います。最低でも1、5、10、できればその間の3と7の状態を設定するようにしてみてください。

参考に私が決めた企画力の段階とそれぞれの状態を書いておきます。

1:自分で計画を作って改善を進められる
4:工場内の複数部署に関わる企画を作成できる
6:自拠点の工場経営に影響を及ぼすプロジェクトを企画、主導できる
8:海外拠点を含めた工場経営に影響を及ぼすプロジェクトを企画、主導できる
10:拠点、部品(ユニット)、あるいは会社の将来を見据えたロードマップを作成、提案できる

説明したくせに3も5も7もありませんが、そこら辺は自分の作りやすいようにすれば良いと思います。ここで書いている状態、そうあってほしい状態を先に設定して、それに該当するレベルがいくつなのか、という形で点数を決めていってもいいと思います。

あとレベル設定する時に気にしたいのは、役職によって点数分けをしてみる、ということですね。たとえば担当、主任、係長という役職があったとしたら、1~3点が担当、4~7点が主任、8~10点が係長、という具合です。

それができていれば、各役職に求められる力量がわかりやすくなりますし、昇格をさせる対象を決める際にも役に立つと思います。また、メンバーに昇格する理由、できない理由を説明するのにも役に立ちます。

また、良い評価を付ける時には
「君はまだ主任なのに、8点の成果を出している。だから良い評価を付けたんだよ」
とか、
「君は係長だけど、ここが6点の成果しか出ていない。だから良い評価は付けられない」
という具合に、それぞれの評価を付けた根拠として説明することができるようになります。

2-4.最初に自己採点をしてもらう

このようにして部署として求められる〇〇力と、それぞれの能力を求められる状態に合わせて細分化、点数付けを実施しますが、それが完成したら次にやることはなんでしょうか。

これらに基づいて各メンバーの評価を自分で実施してもいいと思いますが、私はそれより先に各メンバーに自己採点してもらいました。

なぜかというと、人はやはり自分がかわいい生き物です。いきなり厳しい評価、自分のイメージと違う評価が与えられたらきっと受け入れにくくなると思ったからです。

先に評価軸を知らされ、それに基づいて自己評価をしていれば、心の準備ができている分だけ上司の評価とのギャップがあった時にも比較的受け入れやすいかなと思っています。また、自己評価と上司評価とのギャップの理由が何であるか、というのがわかりやすくなりますので、上司からすると説明がしやすくなるんです。

私は基本的に自分の自分に対する評価より、他人の自分に対する評価の方が正しいと思っています。なので、自分の評価と他人の評価のギャップを明確にすることで他人からどう見られているのか、部署に貢献できているのかどうか、自分の苦手分野・得意分野が何であるのかということを知ることができると思っています。

よって、管理職からの評価結果を見せる前に、自分で自己評価を実施してもらうようにしました。

ここで問題なのが、自分のことを過大評価する人と、逆に必要以上に過少評価する人がいる、ということです。本当に、面白いようにこの傾向が分かれますが、多くの場合は控えめの自己評価をする人が多いと思います。

実はここで紹介している手法は私がインドネシアに駐在している時から開始しました。インドネシアでは日本人よりも評価を気にします。そりゃそれが給料に直結するのですから、当たり前と言えば当たり前で、むしろ評価はあまり気にしないという日本人の方が世界標準からは外れていると思います。

インドネシアでも同じようにきちんと点数付けできるようにそれぞれのレベルでの状態を定義しました。ですが、普通に考えて「君はこれはできてないよね?普通に考えてわかるよね?」と言いたくなるようなほどの自己評価を記入してくるスタッフもいました。

一生懸命仕事に取り組んでくれているスタッフは比較的妥当な自己評価を記入してきましたが、むしろ仕事をあまりしない人の方が自己評価が高い傾向があったのは面白かったですね。このスタッフはとにかく駄々をこねて高い評価を引き出そうとしてきますが、理路整然と反論するのにもこの手法は役に立ちました。

あまりこんなところで役に立っては欲しくないのですが、逆に自己採点が低すぎるスタッフに対しても、君のやっていることはもっと高いレベルの仕事なんだよ、ということを説明してあげる時にも有用です。特に日本人にはこちらの方が役に立つかもしれません。

 

2-5.上司の採点結果と自己採点結果を照らし合わせて話し合う

自己採点をしてもらってからはいよいよ上司、つまり自分が評価をする番です。

できれば自己採点の結果を見る前に採点をした方がいいと思います。それはなぜかというと、自己採点の結果に影響を受けてしまうからです。自己採点結果と自分が採点した結果を比較したうえで調整していくのは良いと思いますが、先に自己採点結果を見てしまうとやはり少し気になってしまいますからね。

最終的に上司の採点結果を優先して最終評価を決めますが、自己採点と上司採点の結果を比較しながら自分に何が足りないか、周囲からは何が評価され、何が評価されていないかを説明することができます。これは何のベースもなく話をするのと比べてもかなり客観的に説明することができると私は感じています。

ただし、問題になるのが、ここでの評価と最終的に与えられる評価が異なることがある、ということです。

その理由を簡単に説明すると、会社の人事評価の仕組みとして、直属の上司の一存では評価を決められない場合があるからです。

くどいようですが、詳細はこの記事を読んでみてください。

頑張っても意味がない!? 人事評価の裏側を教えます今回は人事評価について書きたいと思います。 サラリーマンであれば自分の評価って気になりますよね。 それによってもらえる給料の額が...

評価される側にとって評点はとても大事です。いくら面談で良い評価をしてもらったところで、最終的な評点が悪ければ何の意味もなさないでしょう。

そういう場合はどうすればいいか?

私は謝るしかないかなと思っています。

こういう事情で君には成果に見合った評点を与えることができない、と説明することが必要なのかなと思っています。それは上司としては何とも情けない姿かもしれませんが、当時評価される側だった私が感じた矛盾を繰り返さないためには、部下にきちんと説明する姿勢を示すことが大切なことだと自分に言い聞かせています。そこで噛みついてくる部下もいるでしょうが、そこは素直に認めるしかないと思っています。

少なくとも自分はこのように君を見ている、ということを伝え、きちんと評価をしてあげることが一番重要であると私は思っていますし、当時の私がこういう説明を受けることができれば少しはモヤモヤが解消したのではないかと思っています。

 

それでもやっぱり人事評価は難しい

このようにしてできるだけ数値で評価できるようにし、その内容を可視化する方法を作り出してきましたが、それでもやはり、気持ちが評価に入ってしまうのを避けることは非常に難しいです。

たとえば、その人が一つだけ大きなミスをしてしまった時、他の人に迷惑をかけてしまった時などは、それ以外は特に問題なく仕事をしていてもその時の印象をひきずってしまいがちです。それが頭にこびりついてしまっていて、他には良いこともしているのにそれだけを理由にして悪い評価を付けてしまうこともあるでしょう。正直、私にも心当たりがあります。

ここまでお話ししてきたことが少しでも納得感を持って評価をするための私のやり方ですが、実は最後にもう1つだけ項目があります。

それは「成果」です。

どれだけ能力があったとしても、うまく立ち回ってくれたとしても、部署として求める成果を出してくれない人には良い評価を付けることはできません。また、上述のようにどうしても気持ちを入れたくなる時があります。その時に各項目をいじってしまうと正しい評価をすることができなくなってしまいますが、最後の調整用として成果という項目を設けたところ、自分の気持ちも評価の中に組み込むことができるようになったと感じています。

上述の各能力を点数で算出し、それらの合計点や平均点でその人の能力を評価するわけですが、最後に成果点を掛け算で加えることで調整しやすくしています。ここで重要なのは足し算ではなく掛け算であるということです。成果点が一番評価に対して影響があるということを知ってもらうのにも役に立ちます。クイズ番組の一発逆転最終問題みたいな感じがしますが、人を評価するのに気持ちも重要な要素であると思っています。情と理、というやつですね。各項目はできるだけ定量的に評価するんだけど、気持ち、感情の要素もしっかりと入れられるような構造にしています。

この評価方法は一回やればそれでいいという物ではありません。評価項目や必要な能力は評価をするたびに細かくメンテナンスをしないといけないですし、毎年の評価の推移を見ておく必要もあると思います。自分が異動して別の部署を管理するようになったら、そもそも必要とされる能力が変わってきますし、上司自身が「会社がこの部署に求めている機能が何であるか?」ということを考える必要があります。言葉にすると簡単で当たり前のように思いますが、これがけっこう難しいことなんです。

私は自分がどんな評価を付けられたとしても上司に理由を聞くようにしています。その中で、悪い評価を付けられた時に、悪いことだけじゃなくて良いところもきちんと評価してくれているかを尋ねるようにしています。

悪い評価が付いてしまうのは様々な理由があるから仕方がない。でも、一つのミスだけで1年の評価すべてが決まってしまうのは違うんじゃないか、と。悪いところも良いところもきちんと見てくれていて、かつ、最終的に与えられる評価の理由をきちんと説明できるように、ということを管理職になってからは心がけるようにしています。

 

かこか
かこか

最後に自己紹介をさせてください。
私はこんな人です。

  • 大手企業の生産技術を研究/開発する部署の課長
  • 金属切削の製造技術歴 約20年
  • 上司と部下の人間関係を中心に仕事のことを書いています
  • インドネシア駐在経験あり。インドネシア語検定C級を持ってます
  • 現在、本を執筆中です
  • Twitterもやってます https://twitter.com/Shibakin_2019
自己紹介 はじめまして ご訪問いただきましてありがとうございます。 自己紹介させていただきます。 出...

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