仕事

「責任は俺が取る」と言う上司はどういうつもり?

かこか
かこか

こんにちは。かこかと申します。

『俺が責任を取るから君は好きにやっていいよ』

こんなセリフを上司が言ってくれたら、部下であるあなたはどのように思うでしょうか?
男気のある良い上司だなぁと思いますよね。

以前、私と同じ会社に勤めるAさんと話をした時に、
「自分が最も前向きに仕事に取り組めた時は〇〇の時だった。なぜなら、その時の上司が『俺が責任を取るから・・・』と言ってくれたからだ」
ということをおっしゃっていました。

おお、ええ上司やないですか、とこの時はAさんのことを羨ましく思ったものです。

こんなセリフで自分を奮い立たせてくれる上司は素晴らしい人であるかのように思いますが、一方で私の中でどうしても引っかかってしまったのが、
「この上司の言う『責任』とはどういうことなのか?」
ということでした。

今回はこれに関連した記事を書きたいと思います。

以前にも同じような内容で記事を書いていますので、そちらも良かったら読んでみてください。

ちょっと待った!! 『責任取れ』は無責任こんにちは。かこかと申します。 最初に簡単な自己紹介をさせてください。 大手企業の生産技術を研究/開発する部署の課長...
もくじ
  1. 私が経験した例
  2. 「責任は俺が取る」 でも、何ができる?
  3. 責任とは〇〇することである

 

私が経験した例

最初に私が経験した例を紹介したいと思います。

私が若かった頃の上司Bさんの話です。

Bさんは本当に私の好きなようにやらせてくれる人でした。
私は何も言われないことを良いことに、好きなように仕事をやらせてもらっていましたし、「もし私がやり過ぎだと思ったら遠慮なく止めてくださいね」と私からBさんにお願いするくらいでした。

ですがある時、仕事がうまく行かずに問題を発生させてしまったことがあったんですね。連日のように原因追求と対策のために走り回っていたわけですが、その時、Bさんは一切私を助けてくれませんでした。

連日夜中まで残って仕事をしていたわけですが、Bさんは現場を見に来ることもほとんどなく、定時になったら何も言わずにさっさと帰ってしまう人でした。

なんで部下がこんなにも苦しんでいるのにこの人は助けてくれないんだろう

Bさんがとっとと帰った後に夜中まで事務所で仕事をしながら毎日のようにBさんを恨んだものです。

「責任は俺が取る」 でも、何ができる?

この話を聞いてどう思われるでしょうか?

好きにしてたんだからしょうがないよね、と思われるか、
上司なんだから責任を取って当然でしょ、と思われるのか。

私自身、誰か別の人からこの話を聞かされたとしたら
「お前が好きにやってたんだから仕方ないやんけ」
と思っていたかもしれません。

ただ、私が思うに、この時のBさんは何もしなかったのではなく、何もできなかったのではないか、と思うのです。

以前、私のTwitterで「あなたが思う上司の責任とはどういう意味ですか?」という問いかけをしたことがあります。

この中で意外と多かったのが、
「上司の責任とは部下が失敗した時に一緒になって謝ること」
という意見です。

過去の私がそう思ったように、失敗した時に一緒に謝ってくれる上司は頼もしいと思うかもしれません。部下からすると、一人でいろんなところから怒られるのではなくて一緒に謝ってくれるだけでも頼もしいと思うでしょう。

ですが、それは責任を取ったことにはならないと私は思うんですね。なぜなら、お客さんからしたら、謝罪はどうでもいいから早くどうにかしてくれ、と思うでしょうからね。謝っただけで責任を取ったことになるのであれば、こんなに楽なことはありません。

かつ、社長であれば「責任を取って辞任します」というようなこともあるのかもしれませんが、さすがに普通のサラリーマンであればそんなセリフは言えないと思います。すぐに辞められるくらいのお金をもらっていたのであればまだしも、そんなサラリーマンは日本にはほとんどいないでしょう。

話を元に戻しますが、もしAさんが失敗した時にその上司がどういう行動を取るかというと、結局はAさんに頑張って解決をしてもらうように促すしかないと思います。上司も一緒になって解決に向けて取り組むということはあると思いますが、そうは言っても担当者であるAさんに代わってその上司が先頭に立って解決するということは考えづらいと思いますので、結局はAさんが最後までやり切るしかないのではないか、と私は思うわけです。

もちろん、愚痴を聞いたり、誰か手伝ってくれる人をつけてくれるかもしれませんが、Aさんが期待するような問題解決をしてくれることはないと思います。問題のレベルにもよるとは思いますし、解決に導いてくれる上司もいるかもしれませんが、それほど多くはないでしょう。そうなった時にAさんは「責任を取ってくれると言ったはずなのに・・・」と不満を持つかもしれませんが、たぶん、かつてのBさんのように上司にできることはそれほど多くないというのが私の考え方です。

責任とは〇〇することである

「俺が責任を取るから・・・」というセリフでAさんに奮い立ってもらおうとしたのでしょうし、気持ちよくAさんに仕事をしてもらおうとしていたのだとは思います。Aさんもそれによって頑張れたのであれば何も文句を言うことはないのですが、私は責任という言葉を使う時は使い方に注意すべきだと思っています。

好きなことをやらせてほしい。自分の思ったようにやらせてほしい。

そういう気持ちは誰しもが持つと思いますが、でも、失敗した時には上司に責任を取ってほしい、それが上司の責任である、というのはかつての私がそうだったように、ムシが良すぎる主張だと思います。

失敗した時にどれだけ上司が助けてくれるかはわかりませんが、結局は自分が最後までやるしかないでしょうし、仮に誰か他の人に任せることになったとしても、自分の評価を下げられることは免れません。いくら上司が「失敗しても俺が・・・」と言ったとしても、失敗したのに評価が下がらずにそのままということはあり得ないと思います。つまり、責任は自分で取らないといけないのが現実でしょう。

私の一番の疑問はAさんの上司が「俺が責任を取るから・・・」と言った時の「責任」が何を意味していたのだろうかということなんですね。責任を取るということはどういうことなんだろうか?ただ辞めればいいのだろうか?降格させられること?減給されること?でも、それって責任を取ることになるの?と、なかなか答えが見つからなかったので、先のようなTwitterに至ったわけです。

いろんな人に話を聞きながら考えたのですが、一番しっくりきた結論は
責任とは解決することである
ということでした。

辞めたり降格したりするのは、解決した後の話である。責任を取ることとは、問題を解決することである。

その言葉だけを聞いただけでもかなり腹落ちすることができたのですが、さらに自分なりに咀嚼した結果、責任とは問題が起こってしまってから発生するものではなく、問題を未然に防ぐための措置を取ることこそが責任であるという結論に至りました。なぜなら、問題が起こってしまってからでは上司ができることは多くないと思うからです。

身近な例で言うと、安全責任者という役職ですね。この人は事故が起きた時に責任を取れるのでしょうか?社員がケガをした時にとれる責任というのは、いったいどういう行動を言うのでしょうか?たぶん、そんな行動はないですよね。そう考えると、この役職に就いた人の役目は、問題が発生した時に謝ることではなく、問題を解決する、つまり事故が起こらないように普段から目を光らせることですよね。

もちろん、私は上司に責任がないとか、部下に押し付けるしかないということを言いたいわけではありません。部下が失敗したとしたら管理責任は上司にあります。話が逸れますが、私が思うにビッグモーターの社長はたぶん本当に現場がこういう事態になっていたということを知らなかったのだと思います。ですが、たとえそうであったとしても、責任は社長にあります。

でも、起こってしまったことに対しては社長自身は何もできないと思うんですね。部下にお願いして動いてもらうしかないと思うんです。まあ、やれることといえばせいぜい辞めることくらいだと思いますが、それが本当の責任かと言われると、そうではないですよね。ましてや、サラリーマンには責任を取って辞めるなんてことは現実的ではありません。

一度部下に仕事を任せたら最後まで任せるべし、というような主張を見かけることもありますが、私は任せたとしても所どころできちんとチェックは入れるべきだと思います。問題が起こらないように普段から注意をして見ていないといけないのだと思うのです。未然に問題を防ぐための準備をすることこそが、問題を解決すること、つまり責任を取るということだと思うわけです。

困っていることはないか、問題はないか、ということを聞いてあげて、もし危ない状況になっているのであれば、失敗する前に手を差し伸べてあげることが必要だと思います。好きにやらせているとはいえ、時には軌道修正を指示することも必要でしょう。たとえ部下の行動を制限するような指示であったとしても、部下の意思をきちんと尊重してあげることさえできていれば、介入だとかマイクロマネジメントだということは決してないと思います。

好きにやらせてくれたBさんには感謝していますが、「責任とは解決することである。解決とは問題を発生させないことである」という定義で言うと、Bさんはやはり上司としての業務を放棄したのだと思います。また、Aさんの上司のように「俺が責任を取るから君は好きなようにしていいよ」という人は一見度胸のある上司のようにも思えますが、上司としての責任、問題を解決する機会を放棄してしまっていることになると思っています。

私はそう思いながらこれからもマネジメントをしていこうと決めています。

 

 

かこか
かこか

最後に自己紹介をさせてください。
私はこんな人です。

  • 大手企業の生産技術を研究/開発する部署の課長
  • 金属切削の生産技術歴 約20年
  • 上司と部下の人間関係を中心に仕事のことを書いています
  • インドネシア駐在経験あり。インドネシア語検定C級を持ってます
  • 高周波焼入れに関する本を書きました

自己紹介 はじめまして ご訪問いただきましてありがとうございます。 自己紹介させていただきます。 出...

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