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胡散臭い? シミュレーションの正しい使い方

こんにちは。かこかと申します。

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かこか、お貸しします 私が皆様のお役に立てると思うことかこか、お貸しします。 はい、そのままの意味のとおり、私をお貸ししたいと思います😂 私は過去から何度かブログを書いていたので...

最近、さかんにDXという言葉を聞くようになりました。

DXとは何ぞや、というところから困惑してしまうおじさん世代の私にとっても無視できないくらいの勢いですね。

私が担当している工場の生産現場においてもDXの導入が求められていますが、その一環として(というわけでもないですが)私の部署でも機械加工のシミュレーション技術開発をやっています。

シミュレーション(以後、Simとします)もDXの1つです。

ところが、DXもそうですがこのSimについては生産現場でも賛否両論あり、全員が全員、喜んで受け入れているわけではありません。

なんでこんなにもDXが叫ばれているのに導入が進まないのか。

今回はこの辺りについて私なりの意見を述べさせていただきたいと思います。

Baik, ayo mulai !! 🤩
(インドネシア語で、それでは始めましょう、の意味です😋)

もくじ
  1. Simが受け入れられにくい理由
  2. 結局Simは使いよう
  3. Simについての私の心配事

 

Simが受け入れられにくい理由

 

私たちが取り組んでいるSimですが、どんなことをやろうとしているかというと、実際に生産現場、もっと言うと部品を加工している加工点をコンピュータの中で描こうとしています。ゴーグルを装着するとまるでリアルの世界が目の前に広がっているかのように描き出されているVRと同じようなイメージですね。

これができれば、実際に生産現場で起きていることをコンピュータ上で見ることができるので、問題が発生した場合の解決策を探ったり、未来を予測して問題が起こらないようにしたりすることができます。

ただちょっと・・・なんか胡散臭い感じがしないでもないですよね。
人間世界をバーチャルで表現しているVRであるならまだしも、自然現象の世界を完全にバーチャルで再現することなんてできるのかと。

特に経験一本で仕事をしてきたおじさん世代(私も含む)にはなかなか受け入れられないと思います。

以前、インドネシアで経験した解析ソフトを導入したいスタッフとそれを認めない経営陣の話を記事にしました。

技術を信用しない技術大国 それが日本私は製造業で働いています。 一応エンジニア、技術者です。 日本からはアップルのような世界的企業が出てこない、 かつての技術大国...

これなんかまさにそうで、そんな胡散臭い物に金をかけるくらいだったらもっと現場で試行錯誤をして経験を積むことが重要である、という価値観がもろに出ている場面ですよね。

ただこれはインドネシアに限らず、日本の生産現場、いや生産現場でなくともどこの会社でも見られる光景だと思います。

この記事に出てくる経営陣も含めて、Simを信用していない人達は重要な勘違いしていると私は思っています。

それは、

Simが最良の答えを導き出してくれる便利な物である

という勘違いです。

確かに常に最良の答えを出してくれるSimがあれば経験値なんて必要なくなり、新人であってもベテランと同じような結果を出せるようになります。
そんな便利な物があれば誰しもが導入したくなるのは当たり前です。

ですが、そんな便利な物が世の中にあるわけがないとわかっているからこそ、Simに対して信用ができなくなるわけです。

私のところのメンバーも、現実とSimを一致させようと頑張っていますが、世の中に存在する無数の変数をすべて、かつ、正確にコンピュータに入力することは不可能です。

それであるがゆえに、なかなか一致しないと苦しんでいます。

おそらく、インドネシアで見た経営陣からすると、そら見たことか、だから現場での経験が大事なんだ、と思いっきりドヤ顔で言ってくるでしょうね。

以前、アルキメデスの大戦という漫画を読んだことがあるのですが、主人公が扇子を飛ばして何かに当てるという芸者遊びをしている場面があったと記憶しています。

天才である主人公は、扇子を手から離す角度や風向きなどをすべて計算することで連戦連勝を重ねていましたが、これは漫画の世界だからできることであって、現実の世界ではそんなことできっこないのは誰でもわかることです。

つまり、SimにしろDXにしろ、これらに対する期待が大きすぎるがゆえに導入が進まないのだと思っています。

 

結局Simは使いよう

 

ここまでを読めばSimは結局絵に描いた餅であり、役に立たないという結論になってしまいます。

ですが、さきほども書いたように、Simが使える代物ではないというのは、Simさえあれば最良の答えを常に導き出してくれると考えた場合の結論に過ぎません。

そうではなく、
『複数の選択肢がある場合にどの選択肢が一番目標に近い結果を得ることができるのかを相対的に割り出す手段がSimである』
と考えた場合には結論が変わります。

私が取り組んでいるのは自然科学を相手にしたSimですが、Simは普通の生活の中でも無意識のうちに誰しもがやっていることです。

たとえば、どこかの公園に行く場合で考えてみます。

公園に行く方法が1つしかない場合、Simも何も必要ありません。なぜならそこに行く方法が1つしかないんだから最良もへったくれもありませんよね。

ですが複数の行き方がある場合、どの方法を取るのが最も目的に合致しているかをSimしますよね。目的というのは早く着きたいのか、安く移動したいのか、疲れにくい方法で到着したいのか、などなどですね。

どんな場合でも解決策を分類すると、次の4つのカテゴリーに分類されると思います。

  1. 経験
  2. 想定
  3. 未知
  4. 最良

今回は早くその公園に到着することが目的であるとしましょう。

まずは経験に基づく解決策です。

その名の通り、過去の経験に基づいた解決策ですね。自分がかつて試したことがある経験の中から選ぶ方法です。

車で行くにしても、AというルートとBというルートがあって、どっちが早く着けるかを知っている、という感じです。

2つ目の想定は、経験したことはないけれど、存在することを知っている解決策です。

今までは車でしかその公園に行ったことがないけど電車で行く方法があることも知っている、みたいな感じです。

これは試したことはないけれど、その方法があるのを知っているので検証をすることが可能です。

3つ目の未知は、存在することを知らない解決策です。

たとえば車で行くとしても実は知らないルートCがあるとか、実は近くをバスが通っていることを知らなかった、というような場合です。

これは解決策として存在はするのですが、自分で経験するか、誰かに教えてもらわない限りはその存在を認識することができません。
したがって、検証をすることができません。

最後の最良は、その時々の状況に合わせた最適解ですね。

例えば前回と同じ方法で公園に行くにしても、今回はかなり時間がかかってしまった、なんてことはよくあることです。
公園に到着するまでの時間は様々な要因が絡んで決まってきます。この時間帯であれば電車の方が早く着けるとか、この曜日は渋滞しているなど、経験と想定を組み合わせればある程度の予測はつくのかもしれませんが、突発の事故が発生したりすることもあります。

そこに未知の要素が絡んでくるとその時点で何が最良なのかは誰にもわかりません。まさに神のみぞ知る解決策になります。

Simを信用していない人というのは、Simでこの最良を求めようとしている人が多いからだと思います。最良が見つからないのであれば、後は経験に頼るしかないでしょう、という風に考えているのだと思われます。

確かにSimでわかることというのは経験と想定の範囲内でしかありません。

最良の方法どころか、未知の要素を見つけ出すことも難しいでしょう。

公園までの手段も距離もわからない人に対して、公園までどうやって行くのが一番早いかを計算しなさいと言っても不可能なように、Simでも必ずパラメータ、変数を与えてやる必要があります。

この例で言うと、Aというルートであれば距離が何㎞なのか、電車であれば時刻表の情報がパラメータ、変数にあたりますが、このパラメータというのは知っていることでないと入力できません。

入力されたパラメータを使って、ある理論式にそれらを当てはめることで答えを導き出すのがSimです。そのため、結局は経験と想定の範囲内でしか解析できないわけです。

Simがそういう構造になっている以上、未知の解決策や神のみぞ知る最良の解決策をSimで求めること自体がナンセンスであることがわかります。

もっと言えば、自分がどこに行けばいいかということまでSimに教えてもらおうとする人もちらほら見かけます。Simに意思があるとすれば、そんなん知らんがな、って言いたくもなるでしょうね。

Simはあくまで公園に早く行く、という目的があり、そこに行き着くまでのパラメータを適切に設定してあげられない場合には何の役割も果たしてくれません。

では、経験と想定の範囲でしか解析できないSimはやはり役に立たないのでしょうか。

そんなことはありません。

逆に言うと、上記のような目的とパラメータを適切に設定することができれば、どの方法が最も早く公園に到着することができるかというのを試算することができます。

しかも、それを実際に自分の足で試す必要がないというのがSimの最大の特長です。

何時間もかけて車でいろんなルートを走って公園に行く必要もないし、高い電車賃を払って公園に行く必要もありません。

新しいルートCが見つかったとしたら、これまで使っていたルートBと比較してどちらが早いか、というのも実際に試さずして答えを導き出すことができる。

これこそがSimによって得られる効果です。

このように、Simによってできることとできないことをきちんと見極め、うまく使いこなせる人がその恩恵を受けることができるわけですね。

 

Simについての私の心配事

 

このようにSimをうまく使えばお金と時間をかけずに(考えられる範囲内での)最適な解を見つけることができます。

ですが、未知のパラメータを完全に設定しきれないため、最善であると言い切れる解決策を求めることはできません。したがって、ルートAが10分でとルートBが15分という解析結果が出たとしても、その絶対値を信じることはできませんし、AとBの間の差が5分であると明確に信じ込むことは危険であると言わざるを得ません。

あくまで、Aの方がBより5分程度早いようだ、という程度のことしか有効な情報は得られないと思っておくべきでしょう。

繰り返しますが、本当にそこでAの方が早いのか、Bの方が早いということはないか、ということを証明することはできません。AとBの両方を試すことはできない以上、それは仕方がないことです。

ただ、よほどのひねくれ者を除いて、Simの結果を信じてAというルートを選択する人が多いでしょうし、おそらくその判断を下すことは論理的に正しいと言えるのではないかと思います。

そんないい加減な状態なSimを使っていいのか?と思われる方もいると思いますが、これがSimの現実です。

これからSimの精度が劇的に上がっていくか、というとそれは難しいのではないかというのが私の印象です。

ですが、様々な現象を数値で捉えるためのセンサの性能が上がっていけば、Simの精度自体も上がっていく可能性は秘めていると思います。少なくとも、Simがもっと身近で使いやすくなっていくだろうなというのは感じています。

Simの限界を認識したうえでうまく活用できる人や組織がより成功に近付くことができるんだろなと思っています。

そんな中で私が心配していることが1つあります。

それは国産のSimソフトが少ないことです。

これは私の印象でしかありませんが、日本はSimを軽視する傾向があると感じています。現場力が強いがゆえにSimの正しい使い方を認識できておらず、Simのような得体の知れない物を使うくらいならもっと経験を積むために実験を繰り返した方が良い、という風潮があるように思えます。

使う側がそのように考えているとすればそこに需要は発生せず、ゆえに作る人も出てこないという悪循環が存在しているように感じています。

Simは小難しい理論を使う必要があるので、敷居が高い技術です。ソフトの金額がめちゃくちゃ高いというのもありますしね。

それに加えて英語でしかそのソフトを使えないとなるとまたハードルが高くなってしまうと思います。技術的な相談がしたくても、英語でしか相談できないとなれば一気に難易度が上がってしまうのは明らかですよね。

技術の普及における言語の大事さは他の記事でも書いていますので、良かったら読んでみてください。

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Simを制する者がものづくりを制する、とまでは言えないかもしれませんが、少なくとも有効な武器であるのは間違いありません。

であれば、それを国産化できないとなると日本のものづくりの将来はどうなってしまうのだろうか、と少し心配になってきます。

 

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