今日も昨日の続きとして私なりの戦略の立て方、考え方を紹介させていただきます。
その1にも興味がある方はこちらをご覧ください。
2.戦略の中身を作る
ゴールを決めて宣言することが重要であると1章では述べましたが、
宣言さえしてしまえばそれで十分なんでしょうか。
違いますよね。
そんなわけないですよね。
当然です。
ゴールさえあればあとはなんだっていい・・・わけがありません。
特に大勢の人を巻き込むことが必要な場合、大きな効果も求められますし、
人々の気持ちを高めるための強い求心力を持った物語が必要になります。
すなわち、それが戦略です。
繰り返しますが、ゴールは普遍的な物ではありません。
極論すれば、好き嫌いであると言ってしまってもいいかもしれません。
ですが、ゴールを実現するための戦略には再現性のある論理が求められます。
では、その戦略はどうやって決めるのか。
自分たちがこれから歩んでいく道筋をどのような基準で決めていけばいいのか。
私の考え方はこんな感じです。
- 自分たちが困っていることを基準に考えない
- ボトルネックを見つける
- 「当たり前」という批判を恐れない
一つずつ説明していきます。
1.自分たちが困っていることを基準に考えない
何かの目標とか活動方針を決める時って、何から考えますか?
たぶん、自分たちが今まさに困っていることを解決する手段を見つける方法を
真っ先に考えますよね?
その方がイメージしやすいし、対策案も考えやすいし、
上司や周囲からも賛同を得られやすい。
ですが、これを真っ先に考えてしまうから問題をより複雑にしてしまっている、
というのが私の考えです。
問題というのは、一つの原因で構成されていない場合がほとんどです。
いろんな原因が複雑に絡み合っていて、
こちらを立てればあちらが立たず、というような状況になっているのが普通です。
何かを解決しようと話し合いをするんだけど、
でもあれがあるから無理だよなー、とか、
結局これをなんとかしないといくらやっても無理でしょ、
というような愚痴を言うだけ言い、
結局何の解決策も見出せずに徒労感だけ残って終わり、
っていう経験、ありませんか?
少なくとも私はあります。
何度もあります。
これで終わるならまだ良い方です。
もっとひどいのが、みんなで話し合った時間を無駄にしないためにとか、
何かしら行動を起こすように上司に言われたからとか、
そういう理由で無駄な活動報告会が設定される、というやつです。
手段と目的が逆転してしまうパターンの最たる例ですね。
課題を解決するために時間を使うべきなのにお茶を濁すためだけの報告会が設定され、
その報告会のためだけに活動をしたり資料を作らされたりする。
もうほんとにこれは最悪なパターンですが、
これもまた、私は経験があります。
こんな報告会を設定されるくらいなら、
なんだかわからんけどとりあえず飲みに行くか!!
って言われた方がまだマシです。
もちろん、それもイヤなんですけどね。
問題を引き起こしている本当の原因をしっかり分析・考察せずに、
日々の仕事の中でなんとなく感じている目先の問題解決をゴールに設定してしまうと
結局継ぎ接ぎだらけの対応になってしまうため、
うまくいかない場合が多いです。
うまくいかないどころか、ゴールを動かしたい人にとっては格好の餌食です。
なぜなら、そういう人たちにとってはこの手の改善活動がチンケに思えてしまうためです。
そんなことよりもっと大事なことがあるだろうとか、
それをやるならこれもやれ、
という具合に範囲を広げられてしまったりします。
そして悪いことに、それが真の原因ではない、
ということを改善しようとしている人自身が勘付いているため、
ゴールを動かされることに抵抗しないし、できないんです。
それで結局活動を理解してもらえず、活動自体が雲散霧消してしまって
今までの苦労が水の泡になってしまう。
これまで何度もこういうことを経験してきました。
日々の困りごとを解決するための活動も重要だとは思いますが、
戦略を考える場合には、これを基準に考えてはいけません。
大切な戦略が、ボトムアップ的な考え方で決められていいはずがないんです。
でもそんなこと言われてもどうやって戦略を作っていいかわからん!!
という人もいると思いますので、とりあえずここは注意点の一つと考えてもらって、
具体的な手順に入っていきたいと思います。
2.ボトルネックを見つける
ボトルネックと言う言葉を聞いたことはあるでしょうか?
そんなん知ってるよ!っていう方が多いと思いますが、
念のために説明をしておきます。
くどかったらごめんなさい。
ボトルネックとは
『物事の制約になっている部分』
ということです。
その名の通り、ボトルのネック、つまり瓶の首の部分のことです。
ここです、ここ。
瓶の胴の部分はたいてい太いですが、首の部分は必ず狭くなっていますよね?
どれだけ胴の部分が太くて大きくても、首の部分が狭ければ一度に大量の水をそそぐことはできません。
つまり、流量は首の太さによって決まるわけです。
そこから転じて、
全体の性能を決める制約条件
という意味でこの言葉が使われます。
例えとしてよく使われるのが高速道路の渋滞ですね。
仮に大部分が4車線、5車線の道路であったとしても、
一部だけ1車線になる箇所があればその道路の交通量は1車線分となります。
したがって、渋滞を解消しようとすれば、
このボトルネックの部分を大きくする、
つまり1車線から2車線、3車線、4車線と増やしていけばいいことはわかると思います。
逆に言えば、このボトルネック部分以外のところにいくら改善を加えても
全体の交通量は増えません。
ボトルネック部分を7車線にしたり、スピードを出せるような工夫をしても
意味がないんですね。
こんなわかりきったことをくどくどと言うんじゃないよと思われるかもしれませんが、
実はこれがなかなか見つからないもんなんです。
それは自分がわかる範囲、見える範囲、担当の範囲でしか現象をとらえられていないからです。
たとえばですが、自分の住んでいる家がこの道路の6車線の部分の近くに住んでいたとします。
そしたら自分の前の道を走りやすいようにしようとしますよね。
また、1車線の近くに住んでいる人は、他がどうなっているかがわからないので
この人もまた自分の家の前の道を走りやすいようにしようとします。
これが『部分最適』というやつです。
みんながみんな、自分の仕事を一生懸命やっているのに全然成果が上がらない。
それはボトルネック以外の部分を一生懸命改善しようとしているからなんですね。
でも、頑張ることが良いことだ、自分たちのやっていることは間違っていない、
と信じて活動を進めてしまうんです。
一方でボトルネックを見つけ、それを解消する活動をすることができると
やったらやっただけの効果が得られます。
1車線の部分を広げれば交通量が増えるわけですから、わかりますよね。
だから、本当に効果を上げたいのであれば、まず真っ先にボトルネックを
探さないといけないんです。
ですがですが。
このボトルネックを見つけるのが難しいんだなぁ。
なぜかというと、ボトルネックが他の項目と並列で見られることが多いためです。
あれもやらないといけない、これもやらないといけない、
の中に入ってしまうんですね。
本当はボトルネックのところだけをやればいいのに、
なんとなくあれもこれもやらないと落ち着かない。
手が止まっていると怒られるからやる。
そんな理由でボトルネックがどこにあるのか、余計にわかりにくくしているんです。
では、ボトルネックを見つけるにはどうしたらいいか。
私がボトルネックを見つける時の考え方は、
とにかく抽象化してみる
ということです。
人って目標を立てる時っていきなり具体的なところから入りますよね?
- 売り上げ〇〇%アップ
- 〇〇%コストダウン
などです。
そういうのってゴールに結びついているように見えるので誰も不思議に思わないんですが、
私が大切にしているのはそうではなく、
できるだけゴールを抽象化して多くの人が納得できる姿にしてみる、
ということです。
簡単にイメージするとしたら、
要はこういうことだよね
と誰でも納得できるくらいまでボヤけさせる作業とも言えると思います。
そして、(全員とは言いませんが)多くの人が反論できないくらいまでボヤけさせたら、
次は具体化です。
要はこういうことだよね?
といったんボヤけさせた姿を今度は
具体的にはこういうことだよね?
と今度は具体化していくわけです。
抽象と具体を行ったり来たりしながら考えていくと、
今まで抽象化したつもりだったものがまだ十分に抽象化できていなかったことに
気づいたりもします。
この考え方が悪くない考え方であると自信を持たせてくれた本があります。
紹介しておきますね。
もし私と同じ工場の製造技術をやっている方であれば、
自分が担当しているユニットや部品の製品機能から分解していってみる、
というのも良い方法だと思います。
どうしても、自分たちが日々困っていることを基準にターゲットを見つけようとしますが、
そもそも自分たちが作ろうとしている物は要はどういう物なのか。
これだけははずせないというところはなんなのか。
というところを追及していくという考え方が良いと思います。
みなさんが普段から気にかけていて、一番大切だと思っているコストやサイクルタイムなどは
案外どうでもよかったりする場合も多いんじゃないかと私は思います。
私のこの考え方でうまくいった例を紹介したいのですが、
機密保持の関係上、ここでは控えさせていただきたいと思います。
ごめんなさい(本当は私もしゃべりたい)。
今回はこの辺で。
次回に続きます。