仕事

異動についてもう一度振り返ってみた

前回は私の初めての異動について書かせていただきました。

今日は2回目の異動について書こうと思います。

ちなみに、前回の記事はこちらです。

2回目の異動を先に言ってしまうと、
あれだけイヤな思いをした元の職場に戻る異動でした。
しかも逃げるように、です。

3.2回目の異動

最初の職場でうまくいかずに新しい職場へ異動することになった私。

新しい部署はこれまでのような生産に直結した職場ではなく、
生産で使う技術を開発する間接的な職場でした。

当時、前の職場でうまくいかなかったことを結構引きずっていたと思います。
新しい職場ではうまくいくだろうか、
前の職場の人に申し訳ない、
など、ネガティブなことばかりを考えていた記憶があります。

新しい職場では、レーザーを使った技術開発をやることになりました。
私を異動させた?異動させてくれた?前の職場の上司がこのテーマをやらせてほしい、
と申し伝えていたようです。

ですが、私にはこの技術がうまくいくとはとても思えませんでした。
最初からこのように決めつけてしまうのはよくないかもしれません。
何事もやってみないとわからない。
そう考える方もいるかもしれません。

ですが、やろうとしていることは物理的に絶対にクリアできない制約があることはやる前からわかっていました。
やってみないとわからない、という考え方が時には必要であることも承知はしているつもりですが、物理に向かって戦いを挑むのは神様にケンカを売るようなものです。

それでもその仕事しか与えられなかったわけですから、まずはやってみるしかありません。

工場で多少なりとも鍛えられていたので、それなりのスキルはありましたし、
動き方もわかっていました。
なので、思ったよりもスムーズに準備を整えることができました。
これについては工場で働いていて良かったと思いました。

少し話がそれますが、工場で働くというのは他の職種とはちょっと違うスキルが求められると私は思っています。

スキルというかバランス感覚というか、コミュニケーション能力というか。

もちろん、他の職種だってそういった能力が必要でしょう。
私が知らないだけで、一人で勝手にそう思っているだけかもしれません。
ですが、新しい職場の人たちの動き方が私には鈍くさく見えて仕方がありませんでした。

そんなの、こうやって動けばいいし、これを使えばできるし、この人に頼めばできる。
そういう風に思うことがよくありました。

やはりなんというか、商品の生産に直結していないところはのんびりしているなあ、
というのが私の印象ですし、
他の職種とちょっと違うのは工場のおじさん達との付き合いがある、
ということかなと思います。

これについてはまた違う機会に記事にしてみたいと思います。

繰り返しますが、他にも舵取りが難しい職種はいくらでもあると思います。
単に私が経験したり関連したいくつかの職種の中での比較でしかないので
独りよがりに思った方がいたらごめんなさい。

レーザーを使った技術開発を進めましたが、
いろいろなトライをやっていくにつれて、当初から懸念していた制約が
壁になってしまうことが明らかになっていきました。
私としては、やっぱりか、という感じではありました。
物理を考えればわかる話なので、当たり前と言えば当たり前なんですけどね。

レーザーをうまく使えている工場があるという話を聞いたので、
紹介してもらって見学をさせてもらったりもしました。
するとやはり、その会社では物理制約を回避するような使い方をしていました。

じゃあ同じことをやればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、
私が対象にしていた部品においてはそれができない形状だったのです。
真似もできる場合とできない場合があります。

また、レーザーを使ってやれば性能が向上すると思われていた品質特性がありました。
というか、そもそもその特性を改良することができるんじゃないかと思っていたために、
レーザーに目を付けたという背景もありました。
私自身もそこについては良い結果が得られるんじゃないかと思っていました。

それを確かめるためにトライをやってみたのですが、
なんと想定していたのとまったく逆で、現状より良くなるどころか悪くなってしまう結果が出たのです。

面白いものですね。
その時はうまくいかないことのがっかり感より、
思ったのとまったく逆の結果が出たことに対する面白みの方を多く感じましたね。

理由ははっきりとはわかりませんでしたが、
もし先述の物理制約を回避できる術が見つかったとしても、
この品質特性が悪くなってしまうとするならばレーザーを使う理由が見当たりません。

まあ、技術開発なんてこんなもんです。
やることなすことうまくいったら誰も苦労しませんからね。

ですが、私にとってはこの仕事しかなかったので、
レーザーがダメとなってしまったので他にやることがなくなってしまいました。

当時、リーマンショックの直後だったこともあり、会社の中の多くの活動がストップしてしまっていました。
そんな中、私のところに新しい仕事が舞い込むのはなかなか難しいことでした。

またしても私は、
自分なんていらないんじゃないか、
という疑心暗鬼に苛まれるようになりました。

その時に一緒に仕事をしていた人がいて、その人がやっていることは私も知見がある分野だったので少し仕事を手伝わせてもらうこともありました。
ですが、その人がせっかく私が時間をかけて測定した結果をなくしてしまうような人で、
悪いけどもう一回測ってきてくれない?
と頼まれるようなことが何度もありました。

そんな人の手伝いしかできない自分がイヤでイヤで仕方がありませんでした。

当時は毎日定時で家に帰っていました。

それまでの残業まみれ、休日出勤もしょっちゅうあるという生活に比べれば
間違いなく良い職場環境でした。

毎日始業時間より少し早めに会社に着いて、その分終業時間より早く帰ったりしていました。

毎週金曜日は午後3時に退社するような生活です。
家にそのまま帰るのも気が進まなかったので、
マクドナルドに立ち寄って本を読んだりしていました。

周りはみんな忙しくしているのに、一体俺は何をやってるんだ、
っていう気になりますよね。

そんな日々が1年ほど続きました。

さすがにこれはまずい。
このままで俺の社会人生が終わってしまうかもしれない。

そう思って、思い切って前職場である工場の工場長にメールを送りました。

今のままでは終わってしまう。
だから私を元に戻してもらえませんか?

という主旨のメールでした。

実はその前にも前の職場の上司と話をする機会がありました。

状況を説明して、自分を戻してもらえないかと打診していたのです。
元上司は拒否はしませんでした。
向こうも忙しかったでしょうから、人が欲しいというのもあったんでしょうね。
ですが、今やってることをきっちりやり切って、周りの人に認められてから戻ってこい、
という風に言われました。

もっともな話ですよね。
何も言い返せませんでした。

ですが。

確かにもっともな話だとは思うのですが、当時の私には受け入れることができませんでした。
なぜなら、私の中では当初のテーマだったレーザーはもうダメだと結論が出ていたからです。
他の人に言わせればもっと他にやりようがあるだろと言われてしまうかもしれませんが、
物理的な制約は避けようがないこと、当初狙っていた改良がうまくいかないどころか改悪になってしまうことがわかっていました。
だからもう私の中ではレーザーはやりきったと思っていたのです。

また、他に仕事がないということもありました。

他に仕事があれば自分をアピールする機会もあったのかもしれないし、
自分の居場所を見つけられたのかもしれませんが、
そのチャンスすらない。

こりゃ、自分でなんとかしないと本当にダメになる。

そう思って、思い切って上司を飛び越えて工場長にお願いしてみたのです。

この工場長は私が入社した時から知っている人で、
私がうまく報告できずに恥ずかしい思いをしていた時にも、
「工場で働いていたら必ず他より成長できる。だから頑張れ」
と声をかけてくれるような人でした。

周囲からも尊敬されるような人だったわけです。

元上司のことを悪く言うつもりはまったくないのですが、
一般論でしか話せないのであればもうそこを跳び越すしかない、
この人ならわかってくれるかもしれない。
そういう思いでメールを送りました。

そしたらその日のうちにその工場長が電話をしてきてくれました。

他にも人が大勢いる実験室に電話がかかってきて、電話を取り次いでもらいました。

後からこの電話を取り次いでもらった人から聞いたのですが、
実験室に工場長から電話がかかってくるなんて普通はありえないので、
何かあるんだろうなと思ったみたいです😋

工場長が言うには、
お前の状況はよくわかった。
俺から今の上司に言ってやるからちょっと待っていなさい
ということでした。

この時のうれしさと工場長に対する感謝の気持ちは今でもよく覚えています。
やっとこの環境から抜け出せるわけですからね。

この工場長が定年退職をされた時にはこの時の感謝の気持ちを添えて手紙を渡しました。

それから数日か1週間くらいだったかなぁ。

当時の所属部署の部長から連絡がありました。

長くなってしまったので続きはまた、次回に😉